第四十三章 聞き覚えのある旋律

帰りの車のヘッドライトが松林の小道を照らし出し、やがて山道の曲がり角に消えていった。

一葉が別館に戻ったとき、夜はすでに十一時を過ぎていた。玄関の感応灯が次々と灯り、彼女は石段の下で足を止め、横を向いた——あの車はもう見えない。松林の奥から、風の音だけが届いていた。

玄関を押し開けると、廊下は静まり返っていた。足音だけが、板張りの床に小さく響いた。

部屋に戻り、手提げ袋を椅子の背にかけ、窓台のそばへ歩み寄った。茶碗はそのままの場所に置かれ、白い雛菊もまだ萎れていない。二つ並んで、何も変わっていないかのように静かだった。カーテンはまだ引かれておらず、窓の外には別館の庭の一角が見えた。松の影...

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