第四十七章 白い小蒼蘭と蓮の実粥

廊下の向こう端から聞こえてくる足音は、止まらなかった。

一葉は振り返った。

廊下の突き当たりから、惟道と澄乃が並んで歩いてくる。澄乃は淡い色の保温バッグを手に提げ、惟道は白い小蒼蘭を一束握っていた。クラフト紙で簡単に包まれた花束には、リボンもない。二人は一葉の姿を認めた瞬間、同時に足を止めた。

先に口を開いたのは澄乃だった。声は低く抑えられていて、廊下の静けさを乱すまいとするようだった。「事前に連絡もせずに……」

一葉は二秒ほど黙っていた。

「来たんですね。」

「どうして来たんですか」でも「わざわざ来なくてよかったのに」でもない。ただその二言だけ、既成事実を確認するような口調で——...

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