第四十九章 来週土曜日の約束

電話の向こうに、挨拶はなかった。

暁弦の声はいつもそうだ。落ち着いていて、有無を言わせない重みがある。何時にかかってきても唐突に感じないのは、彼が決して無駄なことを言わないからだ。

「祖父の誕生日が来週土曜日でね」と彼は言った。「数日前に、あなたのことを特に話していた」

一葉は椅子の背にもたれ、手に携帯を握ったまま、すぐには答えなかった。

暁弦はひと拍置いた。言葉を選んでいるようだった。それからようやく口を開き、老人の言葉をそのまま伝えた。「毎日来るから、見飽きた。一葉という子を呼んでくれ。久しく会っていない、最近どうしているか聞きたいと言っていた」

一葉は目を落とし、机に広げた書類...

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