第五十四章 ワインセラーの体温

携帯の電波がセラーの中で二度途切れた。一葉は画面の小さなローディング円を見つめ、スマホを下ろして左側のワインラックに寄りかかり、待った。

通路は狭く、両側の濃い色のワインボトルが木製の棚に整然と並んでいる。天井から斜めに差し込む琥珀色の埋め込み照明が、棚の木目をくっきりと浮かび上がらせていた。恒温システムがどこかで低く唸り、音は一定で、まるでこの空間はもとから静かであるべきだというように。

十二度。

一葉は自分の手に目を落とした。指先がすでにわずかに白くなっている。両手を合わせ、掌で互いを温めながら、何も言わなかった。

暁弦は通路の反対側に立ち、彼女から約一メートルの距離を置いていた。...

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