第五十五章 余韻

廊下の壁灯は暖かな黄色で、光が直接、暁弦の手の甲に落ちていた。

そこに一筋の切り傷があった。長くはない。縁が整っていて、鋭利な金属で引っかいたときの典型的な形だった。傷はすでに凝血していたが、長時間処置されないままだったせいで、縁が暗く変色し、滲み出た血が指の節に沿ってしばらく流れていた。

管家はまだ傍らで蝶番の老化について説明していた。明日には修繕するつもりだと、いかにも行き届いた申し訳なさを声に滲ませながら。

一葉には聞こえていなかった。

酒蔵の中で彼が振り返り、扉を押した動作を思い出した。そのあと何事もなかったように自分の隣に戻り、声の調子は終始穏やかで、眉一つ動かさなかったこと...

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