第六十四章 庭の夜語り

水無瀬家の夕食は午後六時半に設けられていた。

一葉が青葉実業から別館に戻ると、惟道は客間で書類を読んでいた。顔を上げ、静かな口調で言った。「今夜、暁弦が来る。鷹司家から土地の所有権を贈られた。礼儀として、正式にお礼をしなければならない。」

一葉は頷いて了解を示し、部屋に戻って濃灰色の改良和服に着替えた。

詩緒が二階から降りてきた。淡い桜色の振袖小紋に細い金の葉簪を挿し、化粧は丁寧に整えられていた。惟道のそばに歩み寄り、柔らかな声で言った。「お父様、厨房に懐石料理を用意させました。京都の生麩と木の芽も取り寄せましたので、暁弦先生にも気に入っていただけると思います。」

惟道は短く「ああ」と...

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