第六十五章 私が設計した

夜明けの光はまだ薄く、庭の石畳には淡い露が降りていた。

詩緒が階段の踊り場を通りかかったとき、思わず足を緩めた——玄関の外に人が立っていた。深色の保温バッグを手に提げ、表情は穏やかで、しかし明らかに用があって来た様子だった。

鷹司暁弦。

電話もなく、事前の連絡もなく、ただそこに立っていた。まるで当然のことであるかのように。

一葉は靴を履き替え、保温バッグを受け取り、二人並んで玄関を出た。余分な挨拶もなく、わざとらしい親しさもなく、ただ一緒に歩き、自然と歩調が合っていた。

詩緒はその場に立ち尽くし、二人の後ろ姿に視線を落としたまま、三、四秒が過ぎた。それから視線を逸らし、階段を上った。...

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