第六十八章 夜間調査

松濤別館の書斎で、夜十時の卓上ランプが机の一角だけを照らしていた。

一葉は画面に映るサプライチェーンのデータを見つめていた。調達サイクル、外注金額、決済ポイント、どの行も二度確認を終えたが、まだいくつかの論理的な断絶があり、元の契約書と照合する必要があった。

母屋の方から時折足音が聞こえてくる。軽い音だ。澄乃が片付けをしている音だろう。

携帯が震えた。

夕凪澪から暗号化されたメッセージが届いた。「社長、物流倉庫に異常な入出庫記録があります。監視カメラの映像が昨夜の十一時から午前二時まで三時間分空白になっています。権限ログを調べたところ、その時間帯に理論上二年前に削除されたはずの臨時メン...

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