第七十九章 対峙の夜

車窓の外で、夜景が流れていく。

ネオンの光がガラスの上に幾重もの線を投げかけ、高架下の街灯が影を長く引き伸ばしては、また素早く縮めていく――まるで何度も弾かれるリズムのように。

一葉は後部座席に座り、正面を見据えていた。膝の上に指をそっと押し当てている――彼女にはめったに見られない細かな仕草で、力は軽いが、リズムは一定だった。その繰り返しの圧力で、自分がまだ清醒に動いていることを確かめるように。

運転手は口を開かず、ただ彼女が告げた住所へと車を走らせた。

車内は静かだった。

エアコンの送風音が聞こえるほどに。そして時折、車底から伝わってくる、タイヤが路面の継ぎ目を踏む微かな振動も。

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