第八章 おかえり

部屋のドアが静かに押し開けられた。

澄乃は急いで入ろうとせず、まず扉口に立ち、一葉の反応を窺うように待っていた。

掃き出し窓が外壁一面を占めていた。窓の外、夜の闇の中に枯山水の庭園の輪郭がぼんやりと浮かび上がり、白砂が石灯籠の橙色の光の下で冷ややかに輝き、遠くの人工池の水面は静まり返っていた。採光も眺望も、本邸の中で最も恵まれた位置だった。

窓際の無垢材の書き物机の上には、一列の医学文献が並んでいた。金箔押しの表紙は真新しく、初版限定装丁の装いだった。

一葉は部屋に入り、書き物机の前で立ち止まった。

指先が、一冊目の文献の背表紙にそっと触れた。

金箔の文字が灯りの下で淡い光を返した...

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