第九十四章 霜夜

結論は司会者によって簡潔に告げられた。措辞は穏やかだった。「ピアノ部門金賞作品は、審査委員会の申請により、審査を延期いたします」

それだけだった。

客席のざわめきは短い喧騒の後、ゆっくりと沈んでいった。沸騰した鍋の蓋を取ったように、蒸気は散っても、湯はまだ揺れている。

式典は続いた。

いくつかの部門が順に表彰を終え、拍手が波のように押し寄せ、会場の空気が再び持ち上げられていく。来賓席で詩緒はプログラムをハープ部門のページに開き、指先を自分の名前の上に置いた。その動作は、何かを無言で確かめているようだった。

本来ならこの順番は、十分に気持ちを整える余裕を与えてくれるはずだった。

だが...

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