第九十五章 霜夜の名

田中の声はマイクを通じて大広間全体に届いた。静かで、感情の起伏は一切なかった。

「この参加曲目は、本当にあなたが独立して創作されたものですか?」

ホール全体が静まり返り、空調の低い唸り声さえ聞こえるほどだった。

すべての視線が、一斉に梨花へと向いた。

梨花は来賓席に座ったまま、深く息を吸い、背筋を伸ばし、口元の弧を保ちながら、落ち着いた眼差しで舞台を見上げた。

「もちろんです。」声は明瞭で、震えていなかった。「田中先生、この質問は少し——」

「浮島さん。」

田中が遮った。語気は依然として静かだった。その静けさ自体が圧力だった——感情を使う必要がないほど、確信があるということを意味...

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