第11章
決戦から三ヶ月。
和泉神社は、その姿を大きく変えようとしていた。決戦の爪痕はまだ生々しく残っていたが、村の人たちが一丸となり、復興へと尽力してくれたのだ。壊れた社殿の修復のため、毎日誰かが材木を運び、屋根を葺き、掃き清められた境内には、少しずつ活気が戻り始めていた。
荘厳さを取り戻しつつある本殿を前にしても、直哉の心は晴れなかった。
夜明けと共に起き、真新しい白衣と袴に袖を通し、神社の隅々まで手入れをすることが彼の日課だった。
「千夏は帰ってきますよ」
手伝いに来てくれる村の人たちに、直哉はいつも同じ言葉を繰り返した。自分に言い聞かせるように。
「あいつに、前よりも...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章

11. 第11章


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