第9章

午後の陽射しが斜めに差し込み、古びた木造の社殿を金色に縁取っていた。

縁側に腰掛けた直哉の手には、椿川明日香からの手紙が一枚。

「商談……?俺たちに会いたい、だと?」

直哉は訝しげに眉をひそめ、隣にいた千夏に手紙を渡した。

「どう見たって罠だろう」

「どれどれ」

千夏は手紙を受け取ると、その金色の瞳で素早く文面を追う。

「『神社にて最終会談を開き、土地問題を平和的に解決したい』、ねぇ」

フン、と千夏は綺麗に鼻を鳴らした。

「平和ですって?前世のあいつが、そんな殊勝な言葉を知ってるとは思えないけど」

「会うべきか、俺には判断がつかない。なにしろ、彼女は...

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