第32章

行き交う人々で賑わうショッピングモール。磨き上げられた大理石の床が、眩しいほどに光を反射している。色鮮やかなディスプレイが並ぶブティックの店先では、店員たちが笑顔で客を呼び込んでいた。

浅野清美は、ここ数日塞ぎ込んでいる相沢千尋の気分を晴らそうと、わざわざ彼女を買い物に連れ出していた。

「千、ちょっとこれ試着してみて!」

清美はブルーの絞り染めのロングワンピースを手に取り、千尋の身体に当ててみせた。

千尋は眉を寄せ、困ったようにそれを押し返す。

「もう、自分のこと分かってるの? 普段からすっぴんで、せっかくのいい素材を台無しにしてるんだから!」

「やっと恋愛ボケから目が覚めて、あ...

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