第43章

夜の帳が街の空を覆い尽くし、風には冷たい秋の気配が混じっていた。

よく晴れた一日だった。黄昏時の夕焼けはあんなにも鮮やかだったのに、結局は重苦しい夜の色に塗り潰されてしまった。

相沢千尋はアトリエのソファに所在なげに座り、コーヒーカップの縁を指先でとんとんと、あてもなく叩いていた。

胸の奥が妙に息苦しい。昨夜の言い争いと、今朝のあの曖昧な空気が、水に沈めようとしても反発する空き瓶のように、次から次へと脳裏に浮かび上がってくる。

ふう、と息を吐く。夜の街は人々の営みの熱気に満ちているというのに、彼女だけはまだ微かな倦怠感を引きずり、指一本動かす気にもなれなかった。

「ほら、遊びに行く...

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