第54章

窓枠越しに差し込んだ陽光が、床に温かなオレンジ色の模様を描き出している。

ベッドに半分身を預けた一ノ瀬律は、背中の傷口にまだ鈍い痛みを覚えていた。その顔には病み上がり特有の蒼白さが浮かび、普段の鋭い目つきも今日ばかりは人を寄せ付けない冷たさを潜め、代わりに深い倦怠感を漂わせている。

そこへ、相沢千尋が湯気を立てるあっさりとしたうどんを盆に乗せて部屋に入ってくると、彼の手前にことりと置いた。

一ノ瀬律はわずかに眉をひそめた。

「これだけか」

相沢千尋はジロリと彼を睨みつける。

「これがあるだけでもありがたいと思いなさいよ」

そう言って、彼女は振り返り、消化に良さそうなおかずを盛っ...

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