第57章

一ノ瀬グループの社長室。その無機質で冷たい配色は、まるで主の性格をそのまま体現しているかのようだった。

一ノ瀬律は革張りの社長椅子に深く身を預け、長い脚を組んでいた。指先に挟まれた葉巻からは、紫煙がゆらゆらと立ち上っている。

そこへ入ってきた橘柊一は、少し驚いたように目を丸くした。

「珍しいな。葉巻なんて吸うのか」

律は灰皿に葉巻を押し当てて火を消すと、深く息を吐き出した。

「いや、大したことじゃない」

そして、すっと目を細める。

「柊一、プロジェクトの進捗はどうなっている」

今回、一ノ瀬グループと橘グループが共同で立ち上げようとしているのは、新たな国際的ブランドの設立プロジ...

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