第58章

個室の中はグラスの触れ合う音と賑やかな歓声に包まれていた。

橘柊一はすっかり退屈しきっており、どうにかして抜け出す隙をうかがっていた。

ちょうどその時、相沢千尋が部屋に入ってきた。

その姿を認めた瞬間、彼の瞳にぱっと光が宿り、慌てて立ち上がる。

「相沢千尋、どうしてここに?」

相沢千尋のほうも、彼を見てひどく驚いた様子だった。

「あなたのほうこそ、どうしてここにいるの?」

橘柊一は以前ずっと海外にいたため、相沢千尋は彼の素性をよく知らなかった。

橘柊一は顎をしゃくり、個室にいる面々をちらりと見た。

「友達の誕生日でね。ただの数合わせさ」

その笑みは穏やかで、顔に浮かぶ表情...

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