第65章

広々とした部屋のベッドで、一ノ瀬沙織は気を失って倒れていた。

相沢千尋は、白いタオルを傍らのテーブルへそっと置いた。

これも立派な証拠だ。もし誰かが不審に思えば、このタオルに染み込んだ薬品の出所を調べるだけで、首謀者にたどり着けるはずだ。

彼女は足音を忍ばせて部屋を出た。ドアを少しだけ開けたままにして、自分がここに足を踏み入れた痕跡を完全に消し去るのも忘れない。

その時、廊下の奥から足音が近づいてきた。

千尋は慌ててドアの前から離れ、廊下の突き当たりにある物陰に身を潜めて、相手の様子を窺った。

現れたのは、背が低く、太鼓腹を揺らしながら歩く男だった。きょろきょろと辺りを見回すその...

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