第67章

だが、世の中そう都合よくはいかないものだ。

その時、薬で少し意識が朦朧としていた雄山卓史が、ふいに低く呻き声を上げ、ベッドの上の女から転げ落ちた。

一ノ瀬沙織はどうやら意識を取り戻したらしい。男の吐く悪臭に耐えかね、上にのしかかっていた身体を力いっぱい蹴り飛ばしたのだ。

彼女にとっては不幸中の幸いだった。今日、橘柊一のためにと念入りに着飾っていたドレスは、デザインが複雑でひどく脱がせにくい代物だった。

そのため、それなりの時間が経っていたにもかかわらず、雄山卓史はようやく服を剥ぎ取ったばかりで、事に及ぶ前に彼女が目を覚ましたというわけだ。

一ノ瀬沙織は呆然とした目で、床に倒れ込んだ...

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