第68章

雄山琴巳の動きを見て、相沢千尋は満足げに薄く微笑んだ。

だが、その直後。一ノ瀬沙織が錯乱したように彼女を指差した。

「あんたね! 絶対あんたの仕業よ!」

静まり返ったその場で、人々の思惑が交錯する。

雄山琴巳は素早く一歩踏み出し、床に落ちていたタオルを拾い上げた。

そこから鼻を突く強い薬品の匂いを感じ取ると、彼女はためらうことなく、一ノ瀬律の三叔父に警察へ通報するよう求めた。

この件は絶対に白黒つけなければならない。誰かが自分の娘を陥れようとしたに違いない。娘が自ら望んであんな真似をしたわけがないのだ。

彼女は冷静だった。その二つには、天と地ほどの差がある。

相沢千尋は振り返...

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