第75章

一ノ瀬家の本邸で、相沢千尋は祖父の庭いじりに付き合っていた。

最近の一ノ瀬源造はすこぶる機嫌がいい。相沢千尋と一ノ瀬律が同居を続けていることもあり、ひ孫の誕生を夢見ては、早くも幸せな日々を思い描いているのだ。

相沢千尋は祖父の胸の内を知る由もないが、もし知ったなら、間違いなく鼻で笑い飛ばしていただろう。

そもそも、二人はまだ指一本触れ合っていないのだ。子供などできるはずがない。

最近、彼女はあの磁器の文様から大いにインスピレーションを得て、『ローション』ブランドとして初となるアパレルラインのデザインを完成させたばかりだった。

残すは制作のみだが、彼女が求める特殊な生地は、一ノ瀬グル...

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