第77章

古い屋敷の外は、冷たい夜風が吹き抜けていた。

相沢千尋の身体はすっかり冷え切っていたが、それでも彼女はそこに立ち尽くしていた。

加門彰三がのろのろと這い上がり、悪態をつきながら立ち去るのを見届けて、ようやくほっと息をつく。

夜の寒さなど、彼女の心に巣食う冷え込みに比べれば何でもなかった。

ふと、田舎へ送られたばかりの頃の記憶が脳裏をよぎる。

相沢慧子は明らかに彼女を苦しめようと、わざわざ「えりすぐり」の家を選んで送り込んだのだ。

ギャンブル狂でアル中の父親に、気弱で言いなりになるだけの母親。

彼女はそこに着くやいなや、身につけていた金目のものをすべて乱暴に奪い取られた。

見知...

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