第78章

一ノ瀬グループ。

オフィスビルは、鋭利な銀灰色の長剣のように、都市の空へと真っ直ぐに突き刺さっている。

ガラス張りの外壁は陽光を浴びて冷たく洗練された光沢を放ち、流れる雲や街の景色を鏡面の中で細かく砕いて映し出していた。

建物のフォルムは無駄がなくソリッドで、余計な装飾は一切ない。最上階に控えめな企業ロゴが掲げられているだけで、遠目からでも人を寄せ付けない威厳を放っている。

一ノ瀬律は、黒の社用車から降り立ったばかりだった。

今日はここで取引先のパートナーたちと面会し、次期クォーターの事業方針について協議することになっている。

足早に歩を進めるその顔に、笑みは一切ない。

傍らに...

ログインして続きを読む