第81章

寂れた海辺にぽつんと建つ丸太小屋。打ち寄せる波が、絶え間なく海岸線を舐め上げている。

海と空が溶け合う水平線の彼方から、微かな光が漏れ差していた。海鳥たちが疲れを知らぬ様子で飛び回り、澄んだ鳴き声を響かせている。

相沢千尋は小屋の傍らに静かに佇んでいた。潮風が数筋の髪を揺らし、その整った艶やかな横顔を露わにする。

彼女は腕時計に目を落とし、手のひらをきゅっと握りしめた。約束の時間が、もうすぐそこまで迫っている。

やがて案の定、遠くからふらふらと覚束ない足取りで近づいてくる人影が現れた。

加門彰三は顔を赤く火照らせ、全身からむせ返るような酒の匂いを撒き散らしていた。連日の酒と女に溺れ...

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