第95章

一ノ瀬家の本邸。

吹き抜けの広々とした広間。深みのあるマホガニーの家具が柔らかな光沢を放ち、唐草模様が透かし彫りされた木の窓枠越しに、斜めに差し込む陽光が床へまだらな影を落としていた。

これ見よがしな派手さは微塵もなく、ただ長い年月を経て落ち着いた静謐さと調和だけがそこにある。

相沢千尋は、今まさに涙をぽろぽろとこぼして泣いている一ノ瀬源造を困ったような顔で見つめながらも、心の中を温かなもので満たしていた。

「お前……お前という子は! こんな大ごとを、わしらに内緒で勝手に決めるなんて!」

「わしは何も知らんかった! お前、お爺ちゃんを他人だと思っとるのか!」

一ノ瀬源造は今日、一...

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