第123章 お待たせ、晴美

社長室。

古宮桐也は書類に目を落としたまま、黙々と目を通していた。まもなく外へ出て契約の席に臨む予定だ。

この一本さえ取れれば、今年の古宮グループの数字はほぼ達成。年末には株主たちへ、また大きな配当が回る。

そこへ車津がドアをノックもそこそこに開けて入ってきた。

「古宮社長、下の周年パーティー、もう始まってます。顔を出されませんか」

古宮桐也はまぶたすら上げない。手元の書類だけを追い、端正な横顔には露ほどの興味も浮かばなかった。

「見るものなんてないだろ。毎年同じだ」

車津が、意味ありげに口元をゆるめる。

「ですが今年は違いますよ。今夜、奥様もステージに出られるそうで」

そ...

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