第137章 謝れ

古宮冬樹は千葉晴美そのものに、もともと少なからず興味があった。加えて顔立ちは文句なしに整っていて、見れば見るほど妙に癖になる。澄んだ瞳はきらりと光り、まるで言葉を持っているみたいだった。

冬樹は妖しげに片目をつむってみせ、声音まで甘く濡らす。

「その気になれば……人も、心も。全部、君のものだ」

ずいぶん露骨だ。つまり――本気で口説いている。今ここで彼女が頷きさえすれば、話はまとまる。そういう自信が、冬樹の態度の端々に滲んでいた。

千葉晴美に魅力がないわけじゃない。ただ、たいていの場合、わざわざ振りまく気になれないだけだ。顔と色気で釣れば長続きする恋が手に入る? そんなの、笑わせる。

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