第146章 妻に似ているな

千葉晴美はその言葉を聞いた途端、理由もなくくすりと笑った。瞳の奥で光がきらめき、星みたいにぱっと明るく見える。

「古宮桐也。私があんたのお金使ったの、ちょっと惜しくなって、からかってるわけ?」

古宮桐也は長い身体を肘掛けに預け、脚を組む。深い瞳の底に、消えそうな笑みが揺れていた。

「ひとつ、話がある」

千葉晴美の顔に苛立ちが走る。

「かかと擦りむけてんの。ここで立ったまま昔話なんて聞いてらんない。私は上行って寝る」

荷物を提げて身を翻し、階段へ足を上げた――その足裏が床に着くより先に、腰に大きな手が回る。次の瞬間、身体がふわりと浮き、古宮桐也に抱き上げられたまま、階段の踊り場へ。...

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