第162章 古宮社長が浮気現場を押さえに行く

翌日。

千葉晴美が電話を取った。画面を見た瞬間、口元にふっと薄い笑みが浮かぶ。ほんの一瞬で、本人も気づかないほどの微かな変化――けれど古宮桐也は見逃さなかった。

誰だよ。あいつが、あんな顔する相手って。

普段は笑うことすら滅多にない千葉晴美が、楽しげに見えるなんて。珍しいにもほどがある。

千葉晴美は掛け布団をはねのけ、トイレへ向かう。古宮桐也もすぐに後を追い、扉の前で足を止めて耳を澄ませた。

中から聞こえたのは、澄んだ声。いつもの冷たさが少し薄れて、柔らかい温度が混じっている。

「うん。住所送ってくれたら行く。でも昼休み、時間ないから。無駄にしないでよ」

そこまで聞いたところで...

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