第184章 逃げ出す

古宮桐也は温もりの残る指先で、彼女の手の甲をそっと撫でた。瞳の奥まで笑みで満ちている。

「旦那も一緒に連れてってくれない?」

千葉晴美は唇をきゅっと結び、かすかな笑みを浮かべた。ほんのわずか――けれど、古宮桐也への態度が変わりつつあるのが伝わってくる。

首を横に振る。

「だめ。あなたが行ったら、あの人たちまた言い訳探すし。それに、ああいう場面……あなた、見たいと思わないでしょ」

古宮桐也は冗談半分で言っただけだ。晴美が分かる程度のことを、彼が分からないはずがない。

要するに、妻は「制裁」に行く。そこへ自分まで同行したら、千葉桂子たちの性格なら、外で好き勝手に言いふらすに決まってい...

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