第195章 千葉晴美遭難

「早けりゃ五分。遅けりゃ……わからない」

それが彼の出せる最速だった。手元のこいつは構造がやたら複雑で、いつもみたいに箱をちょいと開けるのとは訳が違う。

五分後に本当に開くかどうか、保証なんてできない。しかも、この箱を抱えたまま逃げるなんて論外だ。中身を取り出せなければ、こちらが獲物になる。箱にはきっと発信機も仕込まれている。どこへ行こうが、これを持っている限り――逃げ場はない。

千葉晴美は、連中の腕を見誤っていた。短時間ならまだ粘れる。だが長引けば、かなり危うい。

それでも、ここまで来た以上、歯を食いしばって耐えるしかなかった。

瞳に宿るのは揺るがない決意。噛みしめるように言い切...

ログインして続きを読む