第74章 安心して、君を痛くしない

古宮桐也は、彼女のその気性をむしろ気に入っていた。相手が誰だろうと平然と喧嘩を売る。千葉晴美の辞書に「怖い」なんて文字は存在しないんじゃないか。

だが、古宮桐也も同じだ。人を転がすことに関しちゃ、俺は筋金入り――そういう自負がある。千葉晴美が相手でも負ける気はしない。たとえ今は脚がまだ思うように動かなくても、いざとなれば力でねじ伏せられる。

認めよう。こいつの身のこなしは俺に劣らない。けれど勝負の分かれ目は別にある。俺は男で、千葉晴美はどう強がって見せても女の子だ。恋も知らない、芽吹いたばかりの心――そこは、甘い囁きに案外弱い。

桐也は腕をほどかないまま、あからさまに彼女の唇へ、ちゅ、...

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