第80章 夢でも見ていろ

「俺が来なかったら、おまえんとこの継母と妹に、簡単に見逃してもらえると思ったのか?」

古宮桐也の目には、やさしさがいっぱいに湛えられていた。今にも溢れ出しそうなそれを隠すでもなく、彼は手を伸ばし、千葉晴美の額にかかった髪をそっと払おうとする。だが晴美は反射的に身を引き、警戒を含んだ視線を向けた。

「……なにするの?」

子猫みたいにびくびくしている様子が、可笑しくてたまらない。桐也は口元を緩める。

「髪を直してやろうってだけだ。そんなに怖がってどうする。まさか俺が、おまえを食うとでも思ってるのか?」

それを聞いた瞬間、晴美は吹き出しそうになった。

「……あんたが? できるもんならや...

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