第113章 一触即発

西園寺琴音の腕を、稲崎秀信がしっかりと支えている――その光景を目にした瞬間、陸奥司の表情が凍りついた。

彼の周囲の気圧が急激に下がり、背後に控えていた二階堂瑠璃でさえ、背筋に寒気が走るのを感じたほどだった。

司は瑠璃に目もくれず、長い脚で大股に歩き出すと、瞬く間に琴音と秀信の目前へと迫った。

「陸奥司、君は……」

秀信が反射的に琴音を庇おうとする。

だが司は、彼に口を挟む隙さえ与えなかった。長い腕を伸ばし、杖を持っていないほうの琴音の手首を乱暴に掴むと、秀信のそばから強引に引き剥がしたのである。

「っ……!」

あまりに唐突な出来事に、手首へ走る激痛。琴音の体勢が大きく崩れる。

...

ログインして続きを読む