第120章 ウイルス変異

陸奥司の腕に力がこもる。

二度と離さないとでも言うように、彼女をさらに強く抱きしめた。まるで、少しでも緩めれば彼女が消えてしまうのを恐れているかのように。

「離して!」

我に返った西園寺琴音は、慌てて彼の胸板を押した。

だが、焦れば焦るほど空回りするのが常だ。

怪我をした足首には力が入らず、片手だけで体を支えるのは至難の業だった。

起き上がろうとした瞬間、支えていた手が滑った。

「きゃっ!」

短い悲鳴と共にバランスを崩した彼女は、再び陸奥司の懐へと沈んだ。それも、先ほどよりもさらに密着する形で、結実(けつじつ)するかのように激しく。

頭上から、くぐもった笑い声が降ってきた。...

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