第124章 陸奥グループにも異変

陸奥司の手が、宙で一瞬止まった。そして、ゆっくりと引き戻される。

視線を逸らした彼女を見つめ、その瞳の色がわずかに沈む。胸の奥を、極めて微かな違和感が掠めていく。

「ああ」

彼は淡白な声で応じると、一瞬の動揺を隠すように立ち上がった。強張った首筋を、どこかぎこちない動きでほぐす。

「医者の話では過労だそうだ。静養が必要らしい。あの件は弁護士がついているから、心配しなくていい」

彼はテーブルに歩み寄り、コップに白湯を注いで差し出した。

西園寺琴音はコップを受け取ると、小さく口をつけ、乾いて痛む喉を温かい湯で潤した。彼の言葉には何も答えない。

病室に、微妙な沈黙が落ちる。

かつて...

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