第171章 君は何よりも大切だ

直後、九死に一生を得たという狂喜が全身を駆け巡った。

助かった……。

稲崎秀信の部下たちが、ようやく来てくれたのだ!

頭上を絶え間なく銃弾が通り過ぎていく中、西園寺琴音は稲崎秀信の腕の中に抱きすくめられ、太い幹の陰に身を潜めていた。

外の戦況は熾烈を極めていた。稲崎が連れてきたのは精鋭揃いだが、実験室の警備兵たちも重装備だ。一進一退の攻防が続いている。

流れ弾が幾度となく二人の隠れている大木に着弾し、衝撃で木の葉が舞い散った。

琴音の心臓は早鐘を打っていた。戦況もさることながら、何よりも稲崎の怪我が心配でならない。

彼女を抱く腕の力が徐々に弱まり、呼吸が荒くなっているのが背中越...

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