第216章 あなたに会いたい

「俺も……キノコなのか?」

 彼はそのあまりに突拍子もない言葉を、呆れたように繰り返した。

「そうよ!」

 西園寺琴音は力強く頷く。まるで世界の真理を確認するかのような真剣さだ。

「早く、しゃがんで。天敵に見つかっちゃう」

 稲崎秀信は、反論を許さない彼女の泥酔っぷりを目の当たりにし、ついに道理を説くことを諦めた。

 やれやれ、と無力感に包まれた溜息をつくが、その瞳の奥には深い笑意が滲んでいる。

 彼は大人しく体勢を整えると、本当に彼女の隣の壁際でしゃがみ込んだ。その大柄な体躯を狭いスペースに押し込める姿は、どこか滑稽だった。

「わかった」

 彼は声を潜め、彼女の『キノコ理...

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