第228章 病状は悪化し続ける

間違いなく、真夏だ!

稲崎秀信は壊れ物を扱うように慎重に真夏を車から降ろすと、自然な仕草でその小さな手を握り、柔らかな声で言った。

「真夏ちゃん、ゆっくりね。段差があるから気をつけて。先生のところまで送っていくよ」

真夏は小さな顔を見上げ、稲崎秀信に愛くるしい笑顔を向ける。嫌がる素振りなど、微塵もなかった。

陸奥司の足がピタリと止まり、表情が一瞬にして凍りつく。

稲崎秀信?

なぜ奴が真夏を幼稚園に送ってきた?

西園寺琴音はどうした?

彼女は、他人である男に、たった一人で娘の送迎を任せたというのか?

昨日の琴音の冷淡な言葉が脳裏をよぎる。それなのに、稲崎秀信にはこれほどの信頼...

ログインして続きを読む