第236章 二者択一だ

西園寺琴音の心臓は、肋骨を突き破らんばかりに早鐘を打っていた。

彼女は沸騰しそうな血を無理やり鎮め、壁のナースコールへと駆け寄るや否や、廊下に向かって声を張り上げた。

「警備員さん! 誰か来て! 五〇六号室で殺人が!」

ほぼ同時に、非常ベルの甲高い音が鼓膜をつんざくように鳴り響いた。

ボタンを押し込むと、彼女はすぐさまベッドへ取って返す。

「お母さん、大丈夫!? 怪我はない?」

一条真理の顔色は紙のように白く、先ほどの惨劇に魂を抜かれたかのように怯えきっていた。

震える指先で入り口を指し示し、唇をわななかせるばかりで言葉にならない。ただ、力なく首を振るのが精一杯のようだ。

「...

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