第243章 仕事がしたい

翌日の午後、落ち着いた雰囲気の有能そうな女性が、稲崎秀信の案内で西園寺琴音の住まいを訪れた。

彼女は国内トップクラスの臨床心理の専門家で、記憶障害の分野で多大な功績を上げている道木先生だ。

西園寺琴音は道木先生をリビングに招き入れ、母である一条真理の現在の記憶喪失の状況を簡潔に説明した。

ゲストルームから出てきた一条真理は、見知らぬ人物を目にして足を止め、その瞳に警戒の色を浮かべた。

「お母さん、こちらは道木先生。私がお願いして……お母さんが昔のことをもっと思い出せるように、診てもらおうと思って」

西園寺琴音は努めて穏やかな声で言った。「ただお話しするだけよ。専門的なアプローチを使...

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