第255章 女主人になる

彼女はその一文を打ち終えることなく、震える指を画面の上で止めた。

直後、稲崎秀信から直接電話がかかってきた。

「琴音」

受話器越しに彼の声が響く。「今、どこにいる?」

「家よ」

西園寺琴音は声の震えを必死に抑え込んだ。「書斎にいるわ」

「わかった、聞いてくれ」

彼の声は落ち着いていた。「君の今の行動は間違っていない。疑いを持ち、そして裏付けを取る。それが最も理にかなった手順だ」

「腕の立つ民間の検査機関を知っている。機密保持もスピードも超一流だ」

稲崎秀信は手際よく手配を進める。「後でそっちに人を向かわせて検体を受け取らせる。なるべく早く結果を出すようにさせよう」

西園寺...

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