第257章 彼女の献身に慣れた

西園寺琴音は、二階堂瑠璃の棘のある言葉を完全に無視した。

彼女の視線は七海の顔へと向けられた。

「七海、忘れたの? この前、あなたがこっそり蜂蜜入りのクッキーを食べて、夜中に全身に蕁麻疹が出て呼吸困難になった時、夜通し病院へ連れて行ったのは誰だったかしら」

七海の小さな顔が、一瞬にして青ざめた。

あの時の記憶は、決して楽しいものではなかった。

耐え難い痒み、喉が締め付けられる恐怖、冷たい病院の照明、そして……母親だけがそばにいてくれた、長く孤独な夜。

先ほどまで魅惑的だったお菓子の皿も、今はすっかり色あせて見えた。

彼は首をすくめ、二階堂瑠璃の胸元へと隠れるように身を寄せると、...

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