第266章 過去に留まる

陸奥司はさらに眉をひそめた。

西園寺琴音は今、これほどまでに息子のことを気にかけていないというのか?

七海がなぜここまで泣きじゃくっているのか、一言の説明すらしようとせず、ただ急いで彼を追い払おうとしているのか?

彼が口を開きかけたその時、腕の中にいる七海の泣き声がさらに大きくなり、息も絶え絶えになって、その小さな体が激しく震え出した。

「パパ……ママ、僕のこといらないって……僕のこと嫌いなんだ……うわぁん……」

その時、西園寺琴音の傍らに立っていた真夏が、兄の様子と母の疲れた横顔を交互に見比べ、ふいに耐え切れなくなった。

彼女は母の手を振りほどいて一歩前に出ると、早口で、しかし...

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