第274章 あの人には行く当てがある

陸奥司はその瞳に宿る決意の固さに刺されたように、腕を宙に浮かせたまま硬直した。

彼がその一瞬の動揺に囚われている隙に、西園寺琴音は体を躱し、一切の躊躇なく真夏を抱きかかえたまま彼とすれ違い、ドアを押し開けて出て行った。

陸奥司はその場に立ち尽くし、再び閉ざされたドアを見つめていた。その顔には、底知れぬ暗い感情が渦巻いていた。

「ツカサ、そんなに怒らないで」

二階堂瑠璃の柔らかな声が耳元で囁かれた。彼女は彼の手首にそっと腕を絡め、小さくため息をついた。「琴音も気分が優れなくて、ついカッとなってしまったのよ……でも見て、実の子供にまであんなに冷たいなんて。七海ちゃん、さっきすごく悲しそう...

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