第275章 また現れた

稲崎秀信の携帯電話が震えた。着信画面に目をやると、見知らぬ市内の番号が表示されている。

彼は立ち上がり、窓辺へと歩み寄って通話ボタンを押した。

「もしもし……ああ、そうだ。何だと?……間違いないのか?……わかった、住所を送れ。見張りを続けろ、すぐに向かう!」

その声はにわかに険しさを増した。電話を切ると、彼は足早にテーブルへと戻ってくる。その顔には重苦しい色が浮かんでいた。

「琴音」

彼は声を潜め、茶碗蒸しを一生懸命に食べている真夏をちらりと見た。「うちの者から連絡があった。隣のC市で、偽の……一条真理らしき人物を発見したそうだ」

西園寺琴音の手から、パチンと箸がテーブルに落ちた...

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