第278章 手榴弾

「やはり警戒されているな」

 稲崎秀信は頭を引っ込め、声を潜めた。その表情は険しい。

「人数は少なくない。装備も不明だ。強行突破はリスクが高すぎる」

 彼は素早く腰から拳銃を抜き、マガジンを確認すると、それを西園寺琴音の前に差し出した。その声は低く沈んでいた。

「持っておけ。護身用だ。万が一の時以外は撃つな。俺から離れず、すべて俺の指示に従え」

 琴音はそのずっしりと重い黒い拳銃を見つめ、躊躇うことなく受け取った。

 小さく頷き、銃をしっかりと握りしめる。

 秀信はさらにリュックから防弾ベストを取り出すと、琴音に着るよう促した。

 彼自身も手際よくベストを身につけ、すべての装...

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