第287章 艶めかしい

電話の向こうから陸奥司の急激に荒くなる息遣いが聞こえてきたが、彼女は言葉を止めなかった。

「私はあなた方のかかりつけ医でもなければ、都合よく呼び出せるシッターでもありません。あの子の健康については、父親として果たすべき責任を負ってください。こんなことまで私に言われて代行させようとするなら、あなたの父親としての失格も甚だしいわ」

「西園寺琴音! お前!」

陸奥司の押し殺したような怒声が響く。彼女がここまで強硬な態度に出るとは思っていなかったのだろう。

西園寺琴音はその怒りを一顧だにせず言い放った。「今後、本当に緊急の事態でない限り、どんな理由であれ私を煩わせないでください。私たちにはも...

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